FHAAの指針の記述それ自身は、義務とはされておらず、他の寸法、手段などで同等のバリアフリー性能を確保できればそれで差し支えない。いわば七面倒くさいことをしたくない場合、これに従えば自動的に要件を満たすという意味での例示である。このような形での自由選択は、設計者にとっても非常に望ましいことであろう。なお、既存の住戸では当然、条件が満たされていない場合が多いわけだが、ではそこに障害者が入居したいといった際にはどうなるのだろうか。ここで法的に認められている解決手段は非常に参考になると思う。まず、大家は必要な改修を居住者が行うことに対して承諾を与えなければならない。基本的に拒絶できないのである。ただし、費用は居住者が負担する。そして、退去の際には大家は現状復帰を要求でき、その費用負担も居住者である。もっとも、改修した部分のうちの共用部分にあっては、居住者は退去時の現状復帰を行う必要がない。住戸の中とくらべると、共用部分はバリアフリー対応の必然性が高く、より多くの人に効果があるからであろう。最初に述べた七つの基本要件の中で、もっともむずかしいのは第一の要件、住戸入り口までのバリアフリーな通路だといわれている。なぜなら、それは敷地自然条件という課題を相手にしているからであり、傾斜地や洪水に対する配慮をしなければならない土地では免除せざるを得ない場合も少なくないと覚悟されている。とはいえ、法律の趣旨はきわめてはっきりしており、ご多分にもれず急速に高齢化していくアメリカが、住宅のバリアフリーに向けて重要な一歩を踏み出したということができる。
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